ベストの『エリザベート』を見た!!
今シーズン2度目にして最後の『エリザベート』を見てきました。
前回は絶対に見たかった花總まりさんと山崎育三郎さんの組み合わせだったのですが、今回はフランツ・ヨーゼフの佐藤さん以外はすべて別キャストのカンパニーでした。そしてね……このカンパニーが素晴らしかったんです!!
最初に登場する上山さんのルキーニ、声良し、演技良し、観客のあおり方良し!
尾上松也さんのキャッチーなルキーニに歌唱力がプラスされた(松也さんファン、すみません)最強ルキーニでした。
そして、古川さんのトート。
初登場シーズンはきれいだけど薄味で、「カリスマ店員みたいなトート」と失敬な批評をしていたのですが、濃く太くなっていました!
カリスマロックバンドの強気なリーダーみたい!!
もちろんすごくきれいだけど、たくましくもなっていて素晴らしい!
タイトルロールの愛希さんのエリザベートは歌唱力が圧倒的!!
「私だけに」の最高音部分が不安なく聞けます。
生き生きとした田舎者の野生児のようなシシイで(ほめてる)、こりゃあゾフィが嫌がるわけだわ~と納得しました。
立石さんのルドルフも、ちゃんと「不安で壊れそう」な儚さを持っていて、あ~、これこれ、これが見たかった~!! と感動しました。
香寿さんのゾフィは本当に好みのど真ん中。
演技も歌も「来てほしいところにズバッと入ってくる」感じで、こちらにも感涙。
佐藤さんのフランツ・ヨーゼフも遠慮なく声を出している感じで、あんなに力強い「夜のボート」を初めて聞きましたよ!
素晴らしいデュエットでした!!
生命力に満ちたエリザベートの真骨頂は、「私が踊るとき」のデュエットで、めっちゃ強気な表情で階段を下りながらトートダンサーズを弾き飛ばし(笑)、これまた強気なロックスターのトートと迫力満点の脅し合い!
暴走族のヘッドとレディースのヘッドがタイマン張ってるみたいでした!(ほめてる)
なので、次の精神病院の慰問シーンとの間にあと1シーンくらい欲しかったかな~。いきなり落ち込んでいる理由がわからなかったから。
小池先生、ご検討ください。
古川さんはルドルフ出身なので、前回の公演の時もルドルフとのシーンがすごく良かったのですが、それがさらにパワーアップしていました。
少年ルドルフに対して、決して冷たすぎずちゃんと話を聞いてあげるし、銃を向けることもない。
「闇が広がる」も、すごく正面からルドルフに真剣に向かい合っているようで、迫力満点。
そして最後に「死にたいのか」と尋ねるときには、彼に対する哀れみの表情さえ浮かべていました。
もちろん、命を奪った後には暗く微笑むのですが、ルドルフを単なる囮とは見ていない、複雑な感情が感じ取れて素晴らしかったです。
やっぱり舞台上で上演回数を重ね、さまざまな経験をすることでこんなに演技は変わっていくんですね。
もはやルドルフを演じていたころの面影はなく、立派なトートでした。
実は、前回の『エリザベート』を見た後は、「花ちゃんが出なくなったら、もうこの演目は見なくていいかな」と思ったのですが、今回のカンパニーを見て「いや、『エリザベート』のポテンシャルまだまだあるやん!」と思いなおしました。
本当にすごい演目です。
まだまだ見たいぞっ!!
あ、今回発見したお気に入りポイント。
「最後のダンス」の前の舞踏会シーン、シシィと引き離されたフランツがトートダンサーと踊りますが、このダンスが結構長くて、ダンサーさんがしずしずと踊っているのがいいんですよね。
ぜひご注目ください!