2本の傑作『毒舌弁護人』と『ゆとりですがなにか』
香港映画と邦画でそれぞれとても出来のいい作品を見たので、レビューします。
きっともうすぐ終わっちゃうと思うので、急いで見て~!!
『毒舌弁護人~正義への戦い~』
STORY
五十代の治安判事ラム・リョンソイ(ダヨ・ウォン)は、新しい上司の気分を害したことで、職を失ってしまった。
友人の勧めもあり、法廷弁護士として復活したラムがはじめて手掛けた事件は、複雑には見えない児童虐待事件であったが、事件は予想外の展開を見せ……ラム・リョンソイとパートナーの若い女性法廷弁護士のフォン・カークワンは、大きな権力闘争に巻き込まれていくーーー。
香港映画ファンのKさんに強く勧められて見た1本。
香港映画を見るのはものすごく久しぶりだったのですが、とても洗練されていて、昔は結構あった過剰な下ネタとかスプラッタ表現(多少はありますが)は姿を消し、純粋な法廷ドラマとして楽しむことができました。
スタンダップ・コメディアンから俳優へ転身した方が主演と聞いたので、ラムは『リーガルハイ』の古美門みたいなトリッキーなキャラなのかと思いましたが、それよりはずっとまともでまっすぐなキャラでした。
日本の俳優さんだったら、佐々木蔵之介さんとかがやる感じでしょうか。
彼に批判的な同僚の女性弁護士は木村文乃さんのイメージ。
ラムを支える優秀な助手の御曹司は、小関裕太さん?
ちなみに私の最推しはこちらの方でした。
法廷で弁護士のラムと対決する検察官。
う~ん、日本人だと誰かなあ。中井貴一さんとか?
香港では、弁護士の中から検察官が選ばれるらしいとか、法廷ではイギリス同様にカツラとガウンを身に着けるとか、法曹関係者はもちろん陪審員も英語と広東語のバイリンガルとか、発見することが多くて面白かったです。
ストーリー展開はスリリング。その合間合間に笑いも仕込まれているので、エンタメ作品としてすごく楽しめました。
香港映画を見たことがないという方にもおススメです!
『ゆとりですがなにか インターナショナル』
STORY
「野心も競争意識も協調性もない」と揶揄(やゆ)されてきた「ゆとり世代」の男たちも30代半ばに差しかかり、それぞれ人生の岐路に立たされていた。夫婦仲も家業の酒屋もうまくいかない坂間正和、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路一豊、中国での事業に失敗して帰国したフリーターの道上まりぶ。働き方改革、テレワーク、多様性、グローバル化など新しい時代の波が押し寄せる中、ゆとりのない日々を過ごしながらも懸命に生きる彼らだったが……。
2016年に連ドラ、1年後にスペシャル版が放映された『ゆとりですがなにか』がなんと映画化!!
「え、そんなニーズあるの? 私は大好きだったけど!」と、失礼な感想を抱いたのですが、これがですね、もう、とんでもなく面白かったです!!!
『あまちゃん』再放送でクドカンの実力を再認識しましたが、ものすごく進化してますよ、あの人は!
そして、自分で監督するより脚本だけ書いていた方がいいと思いますよ、三谷さんもそうだけど!
多分、彼らの脚本に役者さんや監督さんがものすごくインスパイアされるのだと思うのです。
その結果、書いた本人がメガホンを取るより自由に楽しく面白く作品にできるのではないかと。
で、クドカンの作品にはいい役者が惜しげなく出る!
めっちゃチョイ役にもすごい顔ぶれが出てて、しかもスパイスとして効いているから楽しい!!
もちろん主演の三人の演技力にも磨きがかかっていて、岡田くんの情けなさは芸術レベルだし、この間まで別班だった桃李くんの童×感は抜群だし、タイトルの「インターナショナル」を体現している柳楽くんの怪しさは大爆発しているし、安藤サクラちゃんの子育て疲れママぶり、吉田鋼太郎さんの謎存在感、ゆとりモンスター仲野太賀くんの進化、もう、挙げればきりがないほど楽しくて面白くて!
コロナやリモート勤務、パワハラやZ世代等々、現代的な要素を「わかるわかる!」「あるある!」と思わせるエピソードに盛り込んで、笑わせながらもちょっと泣けたり、切なかったり、やっぱりクドカンすごいわ~!!
すでにご近所の映画館では朝1回上映になっちゃっていたのですが、そんな時間に見に来る観客にはクドカンファンが多いようで、皆さんよく笑う。
ファンの集いみたいな雰囲気がとてもうれしかったです。
ということで、もうすぐ上映が終わると思われる傑作2本、ご興味のある方は今すぐ映画館へ急げ~!!