珠玉の1本『ロスト・キング』
長年リチャード三世のファンを自認してきた私にとって、宝物のような映画でした……。
<あらすじ>
フィリッパ・ラングレーは職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード三世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むように。1485年に死亡したリチャード三世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきたが、フィリッパは彼の汚名をそそぐべく遺骨探しを開始する。
500年にわたり行方不明だった英国王リチャード三世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとにした映画で、この人なくしてこの発見はなかったのだと驚かされます。
何せ記者発表とかはレスター大学が仕切っていましたからね。
大学や学者が権威を笠に着て手柄を横取りしようとするのは、朝ドラ『らんまん』でもさんざん描かれていましたが、今もまだ堂々と行われているようです。
これ以上の感想はこれから見る方の楽しみを奪ってしまうので、一つだけ。
ポスターにあるように、遺骨を探すフィリッパはリチャード三世に話しかけながら調査を進めます。
その姿を見て、私がさまざまな歴史の舞台を訪ねるときの気持ちと同じだな、と思いました。
レオナルド・ダ・ヴィンチとチェーザレ・ボルジアが対面したイーモラの城
メアリ・スチュアートが過ごしたホーリー・ルード宮殿
ジャンヌ・ダルクがシャルル七世に謁見したシノン城
フランシス・ドレイクがスペイン無敵艦隊を視認したプリマスの丘……
どこに行っても、その場で生きていた人たちを思い描き、話しかけながら歩いたものです。
それが旅をする楽しみであり、歴史を学ぶ醍醐味ですから。
私が訪ねた当時は、レスターの街の人たちさえリチャード三世を「化け物」「悪人」と決めつけていましたが、遺骨の発見をきっかけに彼の真の姿が知られるようになったのなら、とてもうれしいです。
名誉を回復した彼に会いに、もう一度レスターに行きたいですね。
参考までに、過去のブログ記事です(↓)
リチャード三世の遺骨発見?!
リチャード三世の生前の顔