京成バラ園の春バラ(遅刻)レポ3
ふふふふ……終わらない……。多分、次回で終了となると思います。京成バラ園、巨大すぎだろ。
神代植物公園も京成バラ園も各国語の読み方に苦労しているようなので、ボランティアでいいから雇っていただきたいです。まあ、私もフランス語がわからないので、あんまり役に立たないかもしれませんが……。
そしていきなり難しい名前来た! 2023年ドイツ・コルデス社作出の……リラ・トロップフェン(↓)。Lira Tröpfchenなので、本当の発音は「リラ・トレープフヒェン」。うん、これはいいよ、トロップフェンで! 紫色を表すリラ+水滴を表すTropfenに「小さな」という意味の接尾辞が付いているので、「紫の小さな雫」という意味になると思います。
2022年ドイツ・コルデス社作出のストロベリー・ミスト(↓)。霧を吹きつけたような色合いと、ストロベリーリキュールとカンパリで作るカクテル「ストロベリーミスト」にちなんで名付けられました。花びらの表がテラコッタレッド、裏側が白くなっている表情豊かなバラです。2021年オランダ・インタープラント社作出のカントリー・トレンドセッター(↓)。フワフワの八重咲き品種です。トレンドセッターは「新しい流行を作る人」の意味で、インタープラント社からは「オレンジ・トレンドセッター」「パーティ・トレンドセッター」「サニー・トレンドセッター」などたくさんのトレンドセッターシリーズが発売されています。
2021年ドイツ・タンタウ社作出のシェーンハイト(↓)。出たな。「美しさ、美貌」という意味のドイツ語です。まんまですね。芳香種で、フルーツ香とダマスク系の香りがします。
2020年フランス・メイアン社作出のエンチャンティッド・ピース(↓)。剣弁高芯咲きという王道なスタイルの花です。名前は「魔法にかけられたピース」という意味で、同社の代表的な品種ピースの仲間という位置づけなのかな?
2017年ドイツ・コルデス社作出のライデンシャフト(↓)。ドイツ語で「情熱」を意味する赤バラ……なのはいいんですが、これ、現地でも叫んだのですが、スペルが違う~!! 正しくはLeidenschaftです! なのに京成さんがLidenchaftとか書いちゃうから、バラ関連のサイトさんが軒並み間違っちゃってる~💦 やっぱりボランティアで雇ってください~!!!1983年日本・京成バラ園芸・鈴木省三氏作出の王朝(↓)。平安時代の王朝文化をしのばせる色味から名付けられたそうです。「源氏物語」には薔薇(そうび)が登場しますが、こちらは現代で言う庚申バラだったようです。
2023年フランス・メイアン社作出のラ・ヴァルス・ディ・アベイル(↓)。「ミツバチのワルツ」という意味の名前だそうです。発音は……ちょっと違う気もするけどフランス語なのでノーコメント。かわいらしいミニチュアローズです。
あ、この子(↓)は同じ温室の中にいたのですが、名札が見当たりませんでした! 花びらの裏表の色の違いが素晴らしく美しかったです!
2000年オランダ・デ・ルイター社作出のスカーレット・オベーション(↓)。ミニチュアローズのオベーション・シリーズの一つです。花びらの裏側が白いので、花色にアクセントが付いています。
1986年フランス・メイアン社作出のレディ・メイアンディナ(↓)。メイアンディナは同社のミニチュアローズのシリーズで、さまざまな色の花が作出されています。
こちらは1982年作出のオレンジ・メイアンディナ(↓)。オレンジと名付けられていますが、日本語で言う朱色ですね。
2022年日本・京成バラ園作出芸の恋こがれ(↓)。同社のHPによると、『「恋結び」、「恋きらら」に続く京成の恋バラ。恋しくて仕方がない想いが、ポンポンと沸き上がっておさえきれないようなイメージ』とのことです。丸弁カップ咲きと呼ばれる花の形。
1993年アメリカ・J&P社作出のスージーQ(↓)。1970年代に一世を風靡したロック歌手、スージー・クアトロにちなんだバラだと思われます。作出者のキース・ザリー氏は実績のある育種家で、1985年にアメリカの老舗育種会社J&P社に入りました。
同じくザリー氏が2000年に作出したハニー・ブーケ(↓)。アプリコットイエローと呼ばれるはちみつ色のバラです。香りはティー香。はちみつ入りのレモンティーのイメージでしょうか。こちらもザリー氏が2008年に作出したエイプリル・イン・パリ(↓)。スタンダードジャズの名曲のタイトルから名付けられたようです。さすがアメリカ人という命名ですね。
2018年ドイツ・タンタウ社作出のクラリス(↓)。オベリスクにきれいに巻き付いていました。清楚なオフホワイトの蕾は、開花につれ中心に杏がかったピンクがのります。
1998年ドイツ・タンタウ社作出のアシュラム(↓)。インドのヒンドゥー教の僧院・修行場のことで、ビートルズのメンバーが瞑想を学びに行った場所が有名ですね。ちょっとエキゾチックなイメージでしょうか。
2018年ドイツ・タンタウ社作出のマティアス・クラウディウス・ローズ(↓)。名前を見たとき、「え、古代ローマ皇帝か何か?」と思いましたが、18世紀のドイツの詩人でした。彼が眠る墓の前に植えられているそうです。
2019年ドイツ・コルデス社作出のシー・ユー・イン・ピンク(↓)。同社にはSEE YOUシリーズがあり、ピンク以外にレッドやパープルも販売されています。最大の特徴は花の中心の濃い「アイ」と呼ばれる部分。ロサ・ペルシカとの交配で生み出された貴重なものだそうです。
2023年ドイツ・コルデス社作出のアダージョ(↓)。花の色が白からピンクにゆっくりと変わるため、音楽用語のアダージョ(ゆっくりと、ゆるやかに)という名が付けられました。
バラのドアップばっかりご紹介しているので、ちょっとロングな写真も入れておきます(↓)。園内にはこんな風にゴージャスに仕立てられているコーナーもあります。
1994年日本・京成バラ園芸作出の初恋(↓)。ミスター・ローズ、鈴木省三さん作出のバラです。花びらの縁がほんのりピンク色に染まる様子が、初恋を感じさせますね。
2002年日本・京成バラ園芸作出のミラマーレ(↓)。武内俊介さん作出のこの花は、気候や株の状態によって、淡いピンクから濃赤に染まる時も、黄からローズ赤に変化する時もあるという表情豊かな品種です(後ろのバラはかなり赤いですね)。スペイン語で「海を見よ」のような意味になるそうです。1929年ドイツ・ペーター・ランベルト作出のピンク・フラウ・カール・ドルシュキ(↓)。名札には紅不二という別名も書かれていました。白バラのフラウ・カール・ドルシュキの枝変わりではないそうで、現在はドルシュキー・ルブラという名で呼ばれています。
2013年日本・京成バラ園芸作出のミスター・ローズ(↓)。ミスター・ローズと呼ばれた鈴木省三さんの生誕100年を記念して発表されたバラで、現在の京成バラ園育種家、武内俊介さんから鈴木さんへのオマージュだそうです。当時流行していた剣弁高芯タイプの花形となっています。
2002年アメリカ・フランク・ベナルデラ氏作出のリバティ・ベル(↓)。鈴木省三さんがミスター・ローズなら、ベナルデラさんは「ローズ・マン」と呼ばれた伝説的な育種家でした(2011年没)。リバティ・ベルはアメリカ独立戦争時、市民を独立宣言朗読に召集するため鳴らされた鐘の名前です。
1912年イギリス・ウィリアム・ポール&サン社作出のオフェリア(↓)。現在販売しているデビッド・オースティン社のHPによると、1872年作出となっていますが、ハイブリッドティー種の中で、剣弁高芯の花型を確立したとされる歴史的品種です。現代の名花でオフェリアの血を引かぬものはないと言われるほど多くの子孫を残しているそうです。名前はもちろんシェイクスピアの『ハムレット』のヒロインから。
1955年ドイツ・コルデス社作出のグレッチャー(↓)。グレイッシュラベンダー色のカップ咲きの花です。グレッチャーはドイツ語で氷河の意味。そういえば、アイスバーグ(氷山)も同社のバラですね。
1957年日本・鈴木省三氏作出の根室の朝(↓)。京成バラ園の開園が1959年なので、それ以前に鈴木さんが作出した品種ということになります。名前の由来は不明ですが、想像を掻き立てられるネーミングですね。
2005年オランダ・デ・ルイター社作出のカフェ・ラテ(↓)。命名の理由は尋ねるまでもありませんが、とても私好みのセピアな色合いでした。独特のスパイシーな香りがします。1955年北アイルランド・サミュエル・マグレディ4世氏作出のロイヤル・タン(↓)。このマグレディさんは4代にわたって育種家をやっていらして、サミュエル・マグレディ4世さんが最も多くのバラを生み出しています。この方、北アイルランドからニュージーランドに移住されたのですが、移住は1972年のことなので、作出国、一応北アイルランドにしておきます! バラの名前は、1954年のイギリスの障害レースで優勝した馬の名前にちなんでいます。
1997年フランス・メイアン社作出のつるラ・セビリアーナ(↓)。1978年同社作出のラ・セビリアーナのつる性品種です。メイアン社のHPに「ゼラニウムのように1年中花を咲かせる」とありました。意味はセビリアの女性。
1955年ドイツ・コルデス社作出のアッシュ・ウエンズデイ(↓)。シルバーグレイの花色を、キリスト教の「灰の水曜日」とかけて名付けられています。キリストが40日間断食の修業をしたことにちなんで、復活祭までの40日を四旬節と呼んで各種の宗教行事を行いますが、灰の水曜日はその始まりの日。復活祭の46日前に当たります。日数の計算が合わないな~と思ったら、安息日の日曜はカウントしないのだそうです。なるほど。
1886年イギリス・ウィリアム・ポール&サン社作出のブラック・プリンス(↓)。黒バラに近い色ですね。ブラック・プリンスは百年戦争の際に活躍したエドワード黒太子のこと。父エドワード3世が存命中にペストで夭折したため、称号はプリンスのままです。
1860年フランス?・フォンテーヌ作出のプロバンス・ド・パナシェ(↓)。名札は左の通りなのですが、プロバンス・パナシェのほうがよく使われている名称のようです。古すぎてブリーダーの情報が確認できない…。オールドローズのブルボン系統に属します。
1974年ニュージーランド・サミュエル・マグレディ4世氏作出のダブリン・ベイ(↓)。北アイルランドからニュージーランドに移住後に作出したバラですが、アイルランドの首都ダブリンを望む湾の名を付けています。
1996年日本・井上謙二氏作出のツル・たそがれ(↓)。1977年日本・小林森治氏作出のたそがれのつる性品種です。小林氏は品種改良による青バラの作出に実績のある育種家で、「青竜」や「紫の園」、「青の軌跡」などを生み出しています。
2009年ドイツ・コルデス社作出のカール・プロベルガー(↓)。オーストリアの有名なガーデンジャーナリストにちなんだバラです。この方の処女作『賢い怠け者のための庭』はベストセラーになったそうですが、確かにちょっと欲しくなるタイトル…。
1867年にフランスのジャン=バプティスト・アンドレ・ギヨー・フィスが作出したラ・フランスは、ハイブリッド・ティーローズ第1号。この花以前の品種をオールドローズ、以降の品種をモダンローズと呼ぶほどエポック・メイキングなバラでした。こちらはその枝変わりで、1889年フランス・ベルトラン・ギノワソー氏作出のホワイト・ラ・フランス(↓)。オーギュスティーヌ・ギノワゾーという別名もあります。
1991年イギリス・デビッド・オースティン社作出のザ・ピルグリム(↓)。シャローカップ咲きという花型だそうです。アメリカのバラだったらピルグリム・ファーザーズのことだったでしょうが、こちらはチョーサーの『カンタベリー物語』に登場する巡礼者(ピルグリム)から名付けられました。あれって結構猥雑なお話が多いのですが、お花はきれいだな…(笑)。2000年イギリス・デビッド・オースティン社作出のアン・ボレイン(↓)。これは即座にツッコむぞ! アン・ブーリンだよね!? ヘンリー8世の2番目の妻で、エリザベス1世の母です。断頭台の露と消えた悲劇の女性ですが、花は可憐で軽やかですね。
1988年イギリス・デビッド・オースティン社作出のクイーン・ネフェルティティ(↓)。エジプト新王国時代のファラオ、アクエンアテンの正妃の名前で、ベルリン国立博物館に美しい胸像が残っています。ツタンカーメン王の義母に当たるのだとか。