桜の前の椿便り(いろいろ遅刻していてすみません)

3月末、神代植物公園のごひいきのボランティアガイド、Yさんのツアーに参加しました。

桜ツアーのはずが、まだほとんど開花していなかったので、園内のさまざまな植物をご案内いただきました。

ツツジの中で最も早く開花するのがゲンカイツツジ(↑)。玄界灘を囲む地域に分布していたため、この名が付いたそうです。

ミツバツツジに似た色ですが、花の形がかなり異なりますね。

白いボケの花(↑)。ボケは漢字では木瓜と書きますが、これは花が咲いた後にできる実の断面が瓜に似ているためだそうです。

花言葉は「先駆者」「早熟」。織田信長の家紋に使われているのも納得ですね。

石楠花の中では早咲きの夢路(↑)。葉の裏側が緑色ですね。これは西洋シャクナゲの特徴だそうです。

日本原産の石楠花の葉は、裏が茶色くてちょっとモフモフしています(↓)。

これを教わってから、シャクナゲ園でスカートめくりするみたいに葉っぱを裏返すようになってしまいました(笑)。春の野でよく見かけるオオイヌノフグリ(↑)。名前の由来は結構有名ですが、その由来の実物をYさんが見せてくださいました。

この部分の形(↑)が似ているからだそうです。わからない人はググってくれ~💦(笑)

続いた見たのはアオモジの木(↓)。雌雄異なる株で、「数が多くて派手に咲いているのが雄株、控えめなのが雌株」と教えていただきました。並んでないとわからないけどな……(笑)。これは多分雄株です。

これもよく見かけるヒメオドリコソウ(↓)。花の形が扇を両手に持って傘をかぶった踊子の姿に似ているので、そう名付けられたのだとか。雑草だと思っていましたが、確かにかわいい。

よく似ているのがこちらのホトケノザ(↓)です。扇を持っているような花の形はこちらのほうがわかりやすいですが、葉の形が仏さまが座る蓮の花の台座に似ているためにこの名が付いています。ヒメオドリコソウもホトケノザもシソ科。なお、春の七草のホトケノザはまた別の植物だそうです。

園内で咲いていた大寒桜(オオカンザクラ)(↓)。ソメイヨシノよりも早く開花する品種で、調布では「ハリウッドの大寒桜」という、街で最初に満開になる木が有名です。

こちらは東海桜(↓)。切り花として用いられることが多いそうです。

鮮やかな緋色の桜、寒緋桜(カンピザクラ)(↓)。

友雅さんが好きなお花、白木蓮も満開でした。

この後、つばき園を案内していただきました。この時期は、桜よりも椿が花盛りだったので、椿についていろいろと聞くことができました。

一番印象に残っているのは、私とS女史が大好きな「お肉のような模様の椿」(こんなの↓)に関する説明です。

こういったグラデーションのある斑は、ウイルス性のものなのだそうです。ウイルス性の場合、模様が花びらを貫く形で表れるので、花びらの表裏がまったく同じ柄です。一方、「絞り」と呼ばれるこういった模様(↓)の椿は、花びらの表裏の柄が異なっています。

花びらをめくってみなくても、模様で見分けがつきますね。左がウイルス性の斑入り椿、右が絞り模様の椿です(↓)。

椿の花の形にはさまざまな種類があって、丁寧に説明していただいたのですがツアーの後に風邪をひいて寝込んでいるうちにかなり忘れてしまいました……。なので覚えている範囲でいくつかご紹介します。

まずは八重咲き。花弁9枚以上で、花芯に雄しべが見える咲き方です。この明石潟(↓)は大輪でとても華やかな椿でした。

今年注目されそうな椿、光源氏(↓)。八重咲きで雄しべが割れて分散し、花心部で花びらと入り混じる牡丹咲きと呼ばれる咲き方です。

名前の由来は、花びらの端が白い→端(はた)が白い→白旗は源氏→それに「光」付けちゃったというものらしくて、おいおいすごい命名法だな、とつっこみたくなりました(笑)。

牡丹咲きよりもさらに花びらの重なりが多い千重咲きがこちら(↓)。乙女椿(左)が代表的ですが、「この品種は一時流行ったんですが、飽きられたせいで最近は見かけなくなりました」というYさんの説明にびっくり。うちのマンションで山ほど咲いているんですよ。時代遅れだったのか……。

千重咲きの中で、花びらが互い違いでなく、直線的に並んでいるのが列弁咲き(れつべんざき)(↓)です。これ、劇場の座席だと迷惑なやつ(笑)

花全体に大小不規則な花びらが盛り上がり、花弁間に雄しべが見え隠れしているのが、獅子咲き。多分、これ(↓)がそうじゃないかな~。

花芯のおしべ全体あるいは葯(花粉の入った袋)が小さな花弁に変形したのが唐子咲き(↓)。

唐子咲きの中でもこちら(↓)の白芯卜伴(はくしんぼくはん)は人気のある品種のようです。

こちらは花の中にもう一段別の花が咲いているように見える二段咲き(↓)。知らなかったら咲きそこないに見えちゃうかも……?

ちょっと望遠になっていますが、こちらの方がわかりやすいかな?(↓)源氏車という品種です。

松ぼっくりのような形状の松笠咲き(↓)。雄しべがすごいことになっています。

花弁が樋状に中折れして反り、花弁の間がすいている蓮華咲き(↓)。これは神代植物公園オリジナルの神代都鳥(じんだいみやこどり)という品種だそうです。

ここからは一重を中心に。花弁が平たく全開する平開咲き雪見車(↓)。こういう形の雄しべを輪芯と呼びます。ちなみに上の神代千鳥は筒しべ

こちらは一重ラッパ咲き平開咲きとなる天ヶ下(あまがした)(↓)。ラッパ咲きは花の下半分は筒状ですが、花びらの端が反ってラッパ状になる咲き方です。これは筒しべかな。

花弁の端が内曲して、雄しべを抱えるように咲く抱え咲き(↓)。別名「玉咲き」で、花の名前は玉霞です。雄しべは梅の花のように丸く開いている梅芯と思われます。

花びらは大きく開かず、細い筒状からロート状までに開く筒咲き(↓)。これは黒侘助または永楽と呼ばれる品種で、筒しべです。

以上、花の形からの分類でした。まだまだ咲き方のパターンはあるのですが、それはまた来年にでも。

最後に、私がまったく知らなかった椿の葉の形についてご紹介します。

変わり葉椿の一種、柊葉椿(ひいらぎばつばき)(↓)。文字通り柊のようにギザギザした葉です。

こちらも同じく葉がギザギザな鋸葉椿(のこぎりばつばき)(↓)。

葉が桜のような形の桜葉源氏(さくらばげんじ)(↓)。花より葉っぱにフォーカスしてしまった(笑)。

葉が受け皿状に反りかえった盃葉椿(さかずきばつばき)(↓)。茶菓子の懐紙の代わりに使ったりもするそうです。

さらに変わった形の錦魚葉椿(きんぎょばつばき)(↓)。葉の先が金魚の尾びれのように三つに分かれています。

もっとすごい形の蘭鋳葉椿(らんちゅうばつばき)(↓)。葉の先がらんちゅう金魚の尾びれのようになっています。

こんなに変わった葉の椿があるなんて、ご存じでしたか? つばき園は何度も訪れていましたが、今回のツアーに参加しなければきっと気づかなかったと思います。Yさん、本当にありがとうございます!!

ということで、下調べをしていたらアップが大変遅くなってしまいましたが、3月の神代植物公園レポでした。まだ4月分と5月分がたまっているので頑張ります!!💦

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