とても幸せな舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』(ネタバレなし)
『鎌倉殿の13人』最終回の前日に、三谷幸喜さん作・演出の舞台、『ショウ・マスト・ゴー・オン』に行ってきました。
キャストの約半分が『鎌倉殿』出演者というぜいたくな布陣で、しかも『鎌倉殿』とは似ても似つかない役を演じるというのがたまりませんでした。
そして、ご存じの方も多いと思いますが、キャストの方たちがケガや体調不良やコロナで次々と休演され、その代役を三谷さん自身が務めてショウをゴー・オンさせたという、いわくつき(?)の舞台。
小林隆さんと浅野和之さんはまだわかるんですが、シルビア・グラブさんの代役、どうやってやったんだろうな~と思いながら見ていました。
《ストーリー》
とある劇場の舞台袖。
舞台監督の進藤(鈴木京香)の下、舞台監督助手の木戸(ウエンツ瑛士)、演出部ののえ(秋元才加)たちが慌ただしく開幕の準備をしている。
芝居の演目はシェイクスピアの『マクベス』。この劇団のオリジナルバージョンだ。
ところが間もなく客入れも始まるというのに、肝心のマクベスを演じる座長・宇沢(尾上松也)の姿が見当たらない。
劇場に来るはずの外国人演出家は迷子になっているようだし、若い演出部のスタッフは連絡もなく現れず、ミュージシャンの一人も来られなくなった。
次から次へと襲いかかる想定外のアクシデントを、役者とスタッフたちは切り抜けることができるのだろうか?
もともとは1991年に本多劇場で東京サンシャインボーイズが演じたお芝居。
舞台監督の役は西村雅彦さんだったそうです。
それを鈴木京香さんが演じるというのに、時代の変化を感じさせられました。
ちなみに、初演時より登場人物は増えているけれど、上演時間は少し短くなったのだとか。
劇の展開もスピードアップしたのかな?
個人的に見ていて圧巻だったのは、大スター役の尾上松也さん!
そして、シルビア・グラブさんでした。
やはり舞台が本拠地の人は、空間の支配力が違う!!
さすが上皇様と兼子さまです!
もちろん、キャストの皆さんは全員とても達者で、最初から最後まで笑わせてくださいました。
連打されるアクシデントはもちろんデフォルメされているのですが、「いや~、あるある」と思えるものも結構あって、学生時代に経験した舞台の数々のトラブルを思い出しました。
主役は倒れるし、劇場の屋根は抜けるし、小道具は舞台袖で踏んで粉砕しちゃうし、眼鏡のレンズは突然落ちるし、着替えている最中に大道具が舞台に出て行って丸見えになるし、ああああ、いろいろあったなああ~!!!
でもショウ・マスト・ゴー・オン、そこが舞台の面白さであり、残酷さなんですよね。
やっぱり好きだわ~~
話を舞台に戻すと、『鎌倉殿』でもめちゃめちゃ感じた三谷さんのシェイクスピア・リスペクトが、今回も炸裂していました。
もし、これから見るけれど『マクベス』は知らないという方は、一読してからのご鑑賞を心からおススメします!
もうね~、そのシーンでは呼吸困難起こすくらいに笑いましたから!
そう来たか~! そこで使っちゃうか~!! って、死にかけました!
パンフレットのキャストコメントを見ていたら、「これまでは三谷さんに当て書きをしてもらっていたので、別の人のために書かれた役を演じるのは初めて」というようなことを言っている方が多くて、なるほどね~と思いました。
最終回の前に放映された「三谷幸喜の言葉 〜「鎌倉殿の13人」の作り方〜」という番組で三谷さんが言っていましたが、役者が演じて初めて芝居が動き出し、具体的なイメージが結べる。
だから、それにインスパイヤされて台本の内容も変わってくるのだそうです。
お互いが働きかけ合う共同作業というのも、大河のように長いドラマの醍醐味なんですね。
とにかく楽しいお芝居で、舞台好きの人には絶対絶対見ていただきたい内容!
明日、21日にはライブ配信があって、アーカイブも見られるそうなので、ぜひぜひお試しください!
とても幸せな気持ちになれますよ