京成バラ園春バラレポ(その2)
前回は「名前しばり」でご紹介しましたが、ここからは作出国と作出者別に紹介していきますね。
都立の神代植物公園と異なり、京成バラ園には広大なショップが付属していて、さまざまな品種の苗を買い求めることができます。
そのためなのか、京成バラ園の名札には作出者の名前が記されているのです。
まずはバラを国花としているイギリスから。
イングリッシュローズを生み出したデビッド・オースチンの会社、デビッド・オースチン・ローセズ社のバラは「いかにもイギリス!」という風情を感じさせてくれます。
オールドローズの優美な印象に、モダンローズの多彩な花色と繰り返し咲く性質をミックスしたいいとこどりなのです。
(↓)イングリッシュ・ヘリテージ。コーラルピンクの淡い色合いが美しい!(↓)レッチフィールド・エンジェル。イギリスのリッチフィールド大聖堂で近年発見された、8世紀ごろ石版画に描かれた天使のことだそうです。(↓)ザ・ピルグリム。チョーサーの『カンタベリー物語』に登場する巡礼者(ピルグリム)から名付けられました。あれは結構猥雑なお話なのですが、バラは美しいですね。(↓)セプタード・アイル。シェイクスピアの『リチャード2世』の台詞にちなんだ名で、「王が治める島」という意味だそうです。(↓)スピリット・オブ・フリーダム。イギリスの保守団体フリーダム・アソシエーションにちなんで名付けられたそうです。(↓)モーニング・ミスト。朝霧、朝霞の意ですが、霧を通して見た太陽のイメージでしょうか。(↓)ボウ・ベルズ。ロンドンにあるセント・メアリ・ル・ボウ教会の鐘のこと。生粋のロンドンっ子とは、この鐘の音が聞こえる範囲で生まれた者を指すのだとか。(↓)マウンテン・スノー。冠雪のことかな。バラ戦争のときのヨーク家の紋章のような形です。(↓)ペガサス。私のイメージでは白だったのですが、こちらの花はアプリコットイエローでした。ペガサスは鹿毛だったの???
続いてディクソン社。
1836年創立の、アイルランド島北部にあるバラ育種会社です。
こちらはトラッドな形のバラが中心ですね。
(↓)スター・チェイサー。「星を追う者」の意味で、2011年に発表されました。(↓)レーシー・レディ。「活気にあふれた女性」の意味で、1999年に発表。(↓)シナモン・チャイ。名前の由来はこの花が、「ティー」の香りを持つためなのかな?
次は、育種家のジョセフ・ペンバートンが発表した2種です。
(↓)プロスペリティ。「繁栄」「隆盛」といった意味ですね。ペンバートンの生み出した淡い色合いの中輪花シュラブ(半つる性)はハイブリッド・ムスクと呼ばれているそうです。(↓)バレリーナ。プロスペリティの18年後に発表された一重のかわいらしい花。
植物学者で園芸家だったフレデリック・スターンが1950年に作出したのがこちら(↓)のウェディング・デイ。彼は功績を認められてサーの称号を得ています。
イギリスの最後は、痛恨の名札撮り忘れ品種ですが、多分合っていると思うので、130年以上の歴史を誇る名門バラ育種会社ハークネスローズ社のセント・ピアーズ(↓)あまりに美しかったので、必死で品種を検索してしまいました(笑)。
さて、次はオランダです。
まずはインタープランツ社。
こちらはのバラはとても個性的で、特徴があります。
(↓)ラルサ・バビロン。バビロニア王朝時代の都市の名前にちなんでいます。花の中心部に色を載せるのは、育種家の長年の夢だったそう。(↓)ピンク・トルマリン・バビロン。恋愛に効き目があるというパワーストーンの名を冠したバビロンシリーズの1種。(↓)ホット・ファイヤー。かすれたような濃いオレンジの模様は、ハンドペイントと呼ばれているそうです。(↓)ピンク・レディ・ラッフル。一見すると、バラとは思えない変わった形で、花弁に切れ込みが入っています。ラッフルは「ひだ飾り」という意味。(↓)レッド・レディ・ラッフル。こちらの方がちょっとバラっぽい?(↓)ファイヤーワークス・ラッフル。こちらは花火ですね。ほぼ菊? ほかにもグラマラス・ラッフル、ファンシー・ラッフルなどがあるそうです。(↓)マヨルカ。地中海に浮かぶ島、マヨルカ島にちなんだ名前です。ヨーロッパ北部の国々のバカンス先として人気があります。(↓)ホリデー・アイランド・ピオニー。写真では見えにくいですが、こちらも濃いピンクのハンドペイントがあります。ピオニーは芍薬のこと。最後はデルイター作出のアンティーク・レース(↓)。色合いはエメラルド・アイルに似ていますが、形が独特ですね。オランダのバラは実に個性的です。