映画『教皇選挙』が面白かった!(ネタバレなし)
本日封切りの映画、『教皇選挙』を見てきました。
面白かった!!
塩野七生さんの本でルネッサンス時代の教皇選挙(コンクラーベ)の状況は知っていたのですが、当時、投票に参加する枢機卿たちは選挙会場であるシスティーナ礼拝堂から外に出られず、夜は礼拝堂の中にテントを張って寝泊まりしていたんですよね。
今回の映画で描かれているのは、現代のコンクラーベ。枢機卿たちは別棟のサン・マルタ館に移動して宿泊していました。が、なんとこの別棟、1996年ヨハネ・パウロ2世の時に建てられたそうです。って、そんな最近までシスティーナに泊まっていたの?!
主役のローレンス枢機卿役を演じるのはイギリスの名優、レイフ・ファインズ。さすがシェイクスピア俳優、美しい口跡とニュアンスに富んだ表情が素晴らしかったです。
原作では彼の役はイタリア人だったそうですが、映画ではイギリス人となっています。
予告で英語をしゃべっているのを聞いて、「イタリアが舞台なのにやっぱり英語になっちゃうのか~」と思いましたが、なんのなんの、かなりの割合でイタリア語もしゃべってくれます(うまい!)。
さらにラテン語やスペイン語も入り乱れるのですが、全員何を話しているかは理解できている前提。
私の大学にはカトリックの神父さんが多数いらしたのですが、彼らも5カ国語くらいは普通に話していたので、枢機卿がマルチリンガルなのは当たり前なんでしょうね……。
個人的に面白いな~と思ったのは、保守派のイタリア人枢機卿がテデスコという名前だったことです。
これ、イタリア語で「ドイツ人」という意味なんですよね。原作どおりのようですが、なぜこの名前付けたの、原作者さん?
多数派工作やスキャンダルの発覚、誹謗中傷など、神の代理人の選挙であっても生々しい「政治」は行われます。
さらにローレンスを悩ませるのが、数々の謎。
監督さんは「政治的スリラー」を目指したそうで、確かにハラハラドキドキでした。
聖職者たちの色数が極端に絞られた衣装と、重厚で華麗な建物が創り出す絵画的画面も必見。
大人の台詞劇を楽しみたい方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください。
個人的には、リスニングの練習のために繰り返し見たくなる映画でした!