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永遠の誓い  ( 2 / 4 )

 

衾を持ち上げて茵の中に潜り込む。

いつもすっと寄り添ってくる望美が、今日に限って妙に端のほうにいた。

「……先輩? 気分が悪いなら、俺、隣の部屋で寝ましょうか?」

先ほどからの望美の行動が理解できない譲は、遠慮がちに声をかけた。

微かに息を呑むのが聞こえ、望美が勢いよく胸の中に飛び込んでくる。

「……せんぱ」

いつものように抱き寄せようとして、譲は硬直した。

手のひらと、腕に触れる素肌。

なじんだ単衣の感触とは明らかに違う。

今、胸の中にいる望美は衣をまとっていなかった。




「せ、先輩……?!」

譲の動揺を抑えようとするように、望美がぎゅうっと抱きついてくる。

「あ、あの……?」

「……て」

「え?」

次の瞬間、望美が口づけてきた。

今まで、それこそ数えきれないほどキスはしてきたが、こんなふうに望美のほうから積極的に求めてくるのは初めてで、その事実に譲の頭の中は真っ白になりかけた。

深く、情熱的に口づけを交わすうち、滑らかな背中を両腕で抱きしめ、完全に望美を組み敷く形になる。

顔中にキスの雨を降らせ、首筋から胸元へ、まだ、触れたことも目にしたこともない肌へと唇を滑らせると、望美がビクンと全身を震わせた。

ようやく、譲は理性を取り戻す。




「す、すみません! 俺、こんな……!」

身体を離そうとすると、望美が抱きついてきた。

「……いいの……! このまま……」

恥ずかしそうに、耳元に囁く。

「先輩……」

やわらかい肩を抱きしめながら、はっと息を呑んだ。

「……まさか……ヒノエと話しているのを聞いたんですか……?」

「………」

「……それでこんな無理を……」

「無理なんかじゃないよ!」

顔を見られたくないのか、抱きついたまま望美が答える。

「譲くんが好きだから、自然なことだと思う……。
譲くんは私の身体のこと気遣ってくれてるから、自分からは絶対に……こういうことしないでしょ?
だから、は、恥ずかしいけど、私……」

「先輩…」

赤く熱くなっている望美の耳たぶに口づけ、しがみついている腕を柔らかく解くと、譲はあふれんばかりの愛おしさをこめて再度唇を重ねた。

無言の時間がしばらく続く。




「……俺は……自分の貪欲さを知っているから……怖かったんです…」

望美の耳元に何度も口づけながら、譲が言った。

「……怖……かった?」

髪を撫でられ、うっとりした声で望美が聞き返す。

「……だって、前は先輩が笑っていてくれるだけで……、たとえその横にいられなくても、それだけで幸せだったのに……」

頬から顎、首筋へとゆっくりと唇がたどっていく。

「……今は先輩を毎日抱きしめて、何度もキスしないと満足できない……」

なだらかな曲線を唇と指がなぞると、甘い声が響いた。

敷布をぎゅっと握りしめて、望美が白い喉をのけぞらせる。

「……もし、一線を越えてしまったら、俺はきっと毎日……」

「……!! あ……ゆず……!!」

「……あなたを抱かずにはいられないから……」

「……!!……」



 

 
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