歩射神事(下鴨神社:京都府京都市左京区)
下鴨神社(正式名称は賀茂御祖神社)で毎年5月5日に行われる歩射神事の1シーン。
3日の流鏑馬神事、4日の斎王代御禊と同様に、葵祭の前儀です。
弓矢を使って葵祭の沿道を清めるのが目的とされ、馬上から行われる流鏑馬(騎射)に対して、地上で矢を射るため「歩射」と呼ばれています。
平安時代に宮中で行われていた「射礼(じゃらい)の儀」が始まりだとか。
『遙か』のドラマCDの中でも、弓の音には邪気を祓う力があるため、雷が鳴ると内裏では清めのために弦を鳴らす……という説明が出てきましたね。
歩射神事では、射手が弓を鳴らす「蟇目(ひきめ)式」、鏑矢を楼門の屋根を越えて飛ばす「屋越(やごし)式」、大きな的を射る「大的(おおまと)式」、連続で矢を射る「百々手(ももて)式」の四式が順番に行われ、これらを合わせて「鳴玄蟇目神事(めいげんひきめしんじ)」と呼びます。
入場する射手と(上左)と、屋越式(上右)。よく見ると写真の左上に鏑矢が飛んでいるのが写っています!
那須与一が屋島で日輪の扇を射落とした際、使用したのも鏑矢だったと言われています。ということは、当然、譲くんも?
アニメだと確かに普通の矢とは違う形をしていますね。ただ、音は鳴っていないかな。
この神事の際に初めて鏑矢の音を聞きましたが、高くて細いヒュウッという感じの音色でした。鏑矢の音にも破邪の力があるとされていたそうです。
せっかくたくさん写真を撮ったので、ここからは写真メインでご紹介します。
絵師さんのご参考にもなるのではないかと(←自分でも描きなさい)。
屋越式が終わって、神官さんたちが控えの場所に戻る(上左)と、射手たちが弓と矢を手に進み出てきます。
最初は大的式。
数人ずつのグループで、順番に大的を射ていきます。
これから射る的を確認(上左)した後、身支度を開始(上右、下左)。
平安装束の場合は襟の紐をたすき代わりにして着物を押さえ、袖を狩衣から抜きます。
武家装束のほうはワイルドに片肌脱いでスタンバイ。
あの紐にはそんな役割が! と、感心しました。
女性の射手は皆さん、当然平安装束。
支度が終わると向かって左の射手から順に的を射ていきます。
弓道で言う「引分け」〜「会」〜「離れ」〜「残心」(上左右)あたりだと思われます(おぼろげ)。
片袖を外し、紐で着物を押さえ……という辺りからすべて所作が決まっていて、射終わって下がるまで一連の動きがとても美しかったです。
ずらりと並んだ射手が次々と的を射る百々手式(上左)。
これもまた壮観です。
射終えた射手たちは、服装を整えて退場します(上右)。
神事なので、儀式に鉄の鏃(やじり)を使用することはありません。
その分、大的をすっと通り抜けるので、最初は全然当たっていないのかと思った……。儀式後に見たら的は蜂の巣状態でした(笑)。