三輪山(奈良県桜井市)
忍人さんルートをたどった人なら、涙なしには語れない三輪山(みわやま)。
最後の戦いの前に「いつかまたここに来よう」、式の直前に「即位の式典が終わったら行ってみるか」と言ってくれた、約束の桜です。
通常ルートでは「二人で桜は見られそうにない。約束を破ることになってしまったな」という堪え難い終わりを迎えてしまいますが、大団円ルートでは無事二人で見に来ることができました。
「なぜだろうな。ここで君と桜を見ようと、ずっと前から俺は決めていた気がする」
「この桜を君と見ようと思い続けて叶わず、ようやく見られた。そんな気がする」
ゲームには川が登場し、せせらぎの音が聞こえるので、三輪山の麓を流れる大和川のほとりの桜(下左)をイメージしているのかもしれません。
ここから三輪山を眺めるとこんな感じ(下右)になります。
この場所には、『日本書紀』や『万葉集』にもたびたび登場する、海柘榴市(つばきち)という古代の市がありました。百済から仏教が伝来した場所として、「仏教伝来之地」の石碑も立っています(下)。
ただ、現在は桜の季節には提灯吊っちゃうし、本当に「桜並木」という感じなので、ゲームのイメージを大切にするならもっと三輪山に近づくことをお勧めします。
三輪山は山自体をご神体とし、長く禁足地とされた場所。
現在も、山麓にある大神神社(下左)の摂社、狭井神社(下右)で入山許可を得て、白いたすきを掛け、お祓いを済ませてから登山する必要があります。
飲食、喫煙、写真撮影は不可で、入山後3時間以内に下山しなければならない規定。
千尋ちゃんたちがつい踏み入ってしまって大物主の怒りを買うのも、こういう山だからこそなんですね。
大物主は大国主神の和魂(にぎみたま)と言われる蛇神で、大神神社に祀られています。「蛇」ということで、卵がたくさん捧げられていました。
摂社である狭井神社は対照的に大物主の荒魂(あらみたま)を祀っています。
荒魂は進取的かつ活動的な神霊で、災時に顕著な働きをする……とされているようです。ここにも卵が捧げられていました。
下左が拝殿、下右が登拝口で、ここから三輪山に登っていきます。
ちなみにすごくウケたのが、狭井神社の境内にある鎮女池(しずめいけ)の看板(下左)。
狭井の君がにらみをきかせている気がします(笑)。
狭井神社を出てまっすぐ左手に向かうと、「大和国原を一望にする大美和の杜展望台」という表示があります。
この道をたどっていくと、桜の並木が現れます。
「……ずっと、ひどく長い間、君とこうして今年の桜を見られることを俺は待っていた気がする。次の年の桜も、その次の桜も、ずっと一緒に眺めることができる」
「俺はいつでも、何があっても、ずっと君のそばにいる」
展望台から桜越しに見た三輪山(上左)と、三輪山を背に望む大和三山(上右)。左から天香具山(しだれ桜の枝のすぐ右の低い山)、畝傍山、耳成山。畝傍山と耳成山の向こうに霞んで見えるのが葛城山です。
本当に美しい場所なので、桜の季節に訪れたら、ぜひ足を運んでみてください。
ここに忍人さんと千尋ちゃんが来られたエンディングこそが、本当のエンディングなのですから。