2009/11/29
『ダルマ』千秋楽

根本正勝くん主演の『ダルマ』、本日、千秋楽を観劇して参りました。
初めて行った青山円形劇場はめちゃくちゃ舞台が近くて、たまたま根本くんと目が合う位置だと心臓バクバクです。

天変地異で現代文明がすべて失われ、弱肉強食の世界となった未来が舞台。
殺すための機械として育てられ、命じられるがまま殺戮を繰り返してきたダルマは、刀を向けた少年、天馬が落としたオルゴールに心引かれる。
記憶がないはずの幼いころ、母と聞いた気がするメロディー。
樹海の中に、殺しあいのない村がある……と天馬に告げられ、命懸けで組織を抜けてその村に向かうダルマ

ボロボロになってたどりついた彼を、村の人々は温かく迎える。
ただ一人、彼を「血のにおいがする」と嫌う少女、エキナ以外は。
人を殺すことしか知らなかったダルマは、不器用な方法で徐々に村に溶け込んでいく。
やがて、彼を嫌うエキナとも心が通じるようになるが、彼女は天馬が長年思い続けてきた幼なじみ。
ダルマエキナを奪われてしまうと思った天馬は、徐々にダルマを疎むようになってくる。

そんなとき、ダルマが抜けてきた組織の連中が村を襲い、村人を人質にダルマをおびき出そうとする。
ダルマへの使者役を命じられた天馬は、水汲み場へと向かうが……。

といった感じのお話です。
殺人機械だったダルマの虚無感と物騒な感じ、徐々に村になじんできて、最後に「家族」を守るため再び剣を取るまでの感情の変化、天馬との哀しい別れ等、
根本くんの演技、素晴らしかったです。
特に、自分を殺そうとまで思いつめた天馬に「ここに迎え入れてくれてうれしかった。ありがとう。もう俺はいいから」と告げるあたり、涙が止まりませんでした。

で、根本くんウオッチャーとしてはかなり満足度が高かったのですが、この舞台を見ながら私の頭の中でずーーーっとある言葉が響いておりました。

「この話、知ってるんですが」

まったく同じではないけれど、あるよね。あるよね。
同情心で引き込んだ人間が、自分の場所まで奪ってしまいそうになって豹変する人間と、その人にかなりひどいことをされても、自分に居場所を与えてくれたことを感謝して立ち去るアウトロー。

ああ、この辺まで出てきているんですが、私はこの話を知っている~~!!
しかも複数!!!

いいんです、まあ、パターンとしてはありますから。
で、気になったのは、だったらもっとうまく盛り上げられるはず……ということ。
キャラがそれなりの数出ているのに、いまひとつうまくつながっていなかったような。
その人物がその行動を取る背景も、あまり伝わってこなかったかな。
多分もうちょっと脚本を練って、よけいな部分を刈りこめばもっとストレートに感動できる話になったと思います。

ただ、根本くんとしてはかなり新しい役だったので、いい経験になったのではないでしょうか。
やっぱり輝くように美しいし、台詞も力があるし、腰を痛めているということを知って見ていても、そんなことまったく感じさせないし。
いい役者さんだなあとしみじみ思いました。
本当にお疲れ様でした。
しばらく休んで、腰を大切にしてね。