2009/08/31
『遙かなる時空の中で ファン感謝祭2009』2日目昼の部
この公演はDVDにならないとのことなので、内容面にも踏み込んでレポートします。
長いです!!
まずオープニング。
シリンとイクティダールが会話しているところにアクラムが現れるという『朧草紙』のシーンかと思いきや、アクラムが「京を混乱させるために使え」と指し示したのは多季史!
そう、ゲーム版『舞一夜』の設定になっているのです。
苦しむ季史さんと高笑いするアクラムがスポットに照らされて暗転。
続いて『朧草紙』2幕の八葉と怨霊の殺陣のシーンへ。
ここの白虎の殺陣は何度見ても美しい!
一同はけたあと、天真、頼久、イノリの前に怨霊3人組が立ちふさがる『舞一夜』の冒頭シーンにつながります。
八葉を軽視する邪香妃の言葉に「それはどうかな」と、友雅さんが現れ、続いて鷹通さんが現れる懐かしいシーン!
八葉が勢ぞろいしたところでみんながポーズを決め、後ろのスクリーンにイベントのタイトルがドーンと映って正式な幕開けとなります。
ここ、初演のときにかっこよくてびっくりしましたからねえ。
冒頭を飾るのは泰明さんの歌。
いつもは怨霊を調伏してからリフレインに進むのですが、今回は2番の途中から怨霊が登場、なんと泰明さんのバックダンサーを務めます。
ただこの怨霊たち、頑張って歌を盛り上げたのにやっぱり調伏されちゃいました。
ここからの再現シーンはお笑い系です。
詩紋くんがイノリくんに「僕だってこの時代に生まれていれば鬼だったかもしれない」と訴える『朧草紙』のシリアスシーン、いつも怨霊に追われて走り込んでくる町人が、なぜか今日はマイケル・ジャクソンに。
さらに、怨霊を相手にイノリくんが技を決めると、とばっちりをくった詩紋くんが、典型的な感電スタイル(頭チリチリで顔が焦げて煙を吐いてる)で現れ、「僕は全然大丈夫」と倒れます。
この後、トークコーナーVol.1が入りますが、今回は天真役の中村誠治郎くんがやる気満々。「最後だからやりたい」と、寿里くんからMCを奪って、最初のみんなへの質問が「俺のいいところを一つずつ挙げてよ」(笑)。
ほとんどの人が運動神経しか挙げないのにキレかけたとき、出たのが「ひげが濃い」で、この話、夜の部まで引っ張られていました。
アップになるたびに悲鳴を上げる誠治郎くんがかわいかったです。
このコーナーは終わり方が面白くて、しゃべっているキャストの後ろに藤姫が現れ、『朧草紙』の恋バナの場面に突然つながります。しかも、友雅さんをたしなめて逆にからかわれるのはシリン。イクティダールとともにはけ、ほかのキャストも椅子を片付けながら退場、なぜか禍虫だけが取り残されて、藤姫に「楽屋に戻って結構ですよ」と言われます。
友雅さんはこの後、藤姫を恋の話でからかいますが、劇中と違って藤姫は完全に怒ってしまい、口をきいてくれません。
仕方なく懐中から団子(!)を出し、懐柔して終わり。
続いて怨霊3人組が客席から登場します。
『朧草紙』の鬼の洞窟を訪ねるシーンの冒頭を演じると、舞台に上がらずそのまま退場。
このシーン、最後に禍虫の携帯が鳴って、惨魏に電話を取り次ぐのですが、昼の部はキタムラさんからの電話となっていました(前日は禍虫役の滝田さんのお母さん)。
禍虫「おまえに、キタムラさんからだ」
惨魏「はい。え~、今本番中ですから、ダメ出しはやめてくださいよ~」
そのまま退場(笑)
この間に舞台上は、アクラムと八葉が対決するシリアスシーンのセッティングに変わっています。
圧倒的な力に太刀打ちできない八葉。
アクラムがとどめに「黒麒麟よ!」と言うと、いきなり全身黒タイツ、頭に黒麒麟を載せた男性が現れ、「何?」とひと言。
呆然と見送る八葉の間を縫って舞台下手に消え、アクラムが
「…黒麒麟よ…!?」
と呼びかけてこの場は終わります。
続いてトークコーナーVol.2へ。
今度は怨霊チームにイノリ役の鯛造くんと泰明役の八戸くん(ハッチ)が入っている感じの編成。
このコーナーでは毎回、黒麒麟役の高橋くんが最初に謝ります(笑)。
この回では、泰明さんの殺陣にハイキックが加わったという話から、「ハッチ、足結構上がるよね」「でも身体かたいよね」と、鯛造くん、惨魏役の英司さん、ハッチで立位体前屈に挑戦。鯛造くん以外は見事に手が床に着きません。というか、床まで優に15センチはあります!
一方、スポーツ万能の鯛造くんは「昔は特技だった逆立ちが、最近は趣味になってきた」そうで、空いている場所があると無性に逆立ちしたくなるそうです。それはすでに癖? 病気?
あ、それから忘れてはいけないのが「チュパカブラ」の話。
ハッチがブログで熱く語っていたのですが、家畜を襲って血を抜き取るUMA(未確認動物)の名前だそうで、それが「英司さんに似ている!」。
そのポーズをさせては「似ている!」と大喜びしていました。
一回、『朧草紙』のカーテンコールで、永泉役の長谷部くん(ベッキー)と二人でチュパカブラのポーズをしてましたね。わかりにくい芸でした(笑)。
トークコーナーの最後で、「この後は『舞一夜』と『朧草紙』を合体させた『朧一夜』のシーンをお届けします」との紹介があって、舞台が暗転。
多季史が一人舞を舞っているところにアクラムが現われ、彼が斎陵王の舞い手だったこと、無念の死を遂げて怨霊となったこと、生前の名は多季史であったことを告げます。
甦る記憶に苦しむ季史。
ついには怨霊の姿に戻り、自らの思いを遂げることを誓います。
これも、流れとしてはゲーム版『舞一夜』ですね。
この後休憩をはさみ(いきなりアクラムが休憩のアナウンスをしたのでビビりました)、2幕のオープニングはあかねちゃんと季史さんのデュエット「驟雨の迷い子」。
ムードがすっかり『舞一夜』になったところで、3つめのトークコーナー、舞一夜トーク。
怨霊の季史を演じた龍弥くん、季史を演じた木村くんを中心に、舞一夜語りをします。
「まずは『舞一夜』を見たことがない人のために、ストーリーを簡単に紹介」というので、詩紋役の河野くんが現代での三人の話を開始。
「そこから始めるのか!」と突っ込まれて、いきなりあかねと季史の出会いまで話をすっとばしました。
続く鯛造くん(だったと思う)が「季史は踊り好きで、踊りたくてたまらなくて怨霊になった」と、木村くんが思わず下を向くような解説。
さらに誠治郎くんが「八葉はみんなあかねが好きなのに、あかねは季史を好きになっちゃうって言う話」と、終わらせちゃいました(笑)。
この後があの、恐怖のコーナー『戦慄 方言遙か』です。
MCのキタムラさん曰く、「遙かのイメージを築き、守ってきた光栄さんとファンの皆様へ恩を仇で返すコーナー」。
シーン1の登場人物は
あかね(愛知県出身)
アクラム(大阪府出身)
式神(沖縄県出身)
泰明(青森県出身)
アクラムの呼び声に導かれ、「これは…また、夢?」とつぶやくあかね。
『朧草紙』の一場面です。
すると
「今宵は夢やないんやで」
と、現れるアクラム。
すでに客席は瀕死状態です。
「おまえも私に会いたかったんやろ」
「ほら、早う」
とあかねに迫るアクラム(何だか生々しい)。
そこに式神登場!!
が、口から出るのは再現不可能な沖縄弁!
「何言うてるのかわからん」
と苛立つアクラム。激しく同感です。
切り結んだ後、さらに沖縄弁を話し続ける式神。
アクラム困った顔になって、最後には
「……うん」
意味わからないのに返事してました(笑)。
ついに追いつめられる式神。
そこに颯爽と現われる泰明さん!
「いね!」
「神子さ、手え出すな」
うおおお、強力な青森弁攻撃!
アクラムはこっちの言葉はわかるようで、一応会話した後、いつもの決め台詞を言います。
「神子、私に会いたくなったらいつでも私の名を(いきなり照明明るくなる)
呼んでええで」
「ほな、さいなら」と、明るい出囃子とともにアクラム退場。
お囃子に合わせて刀をカチンカチンやったり、ひょこひょこ歩いたり、アイルくんの芯まで関西人っぷりを堪能できました!
お館さま、最高っ!!
さて、シーン2の登場人物は
イノリ(岐阜県出身)
詩紋(広島県出身)
イクティダール(米国カリフォルニア州出身)
「泰明のせいで、また町の人たちに嫌われた」と悔しがるイノリくんに、「また?」と尋ねる詩紋くん。これも『朧草紙』の一場面です。
そこに"Inori"という場違いな発音が。
姿を現したのはイクティダール!
飛びかかってきたイノリに剣を突きつけ、
"If I tried to kill you,..."といきなり全部英語で話し出します(英語は真面目に読まないように)。
その後の台詞のやりとりは劇中と同じなのですが、お館さまがthe masterだし、"Choose the best manner, and take action!"だし、異様におかしい。
イクティダールが去った後、
詩紋「何て言っていたの?」
イノリ「……さあな」
暗転。
シーン3
あかね(愛知県出身)
季史(大阪府出身)
あの『舞一夜』で最も有名なシーン!
降り出した雨、走り出すあかね、薄衣をはおって走ってくる季史。
すれ違った後、彼にぶつかったと思って謝るあかね。
空を仰いでから自分の薄衣をあかねにふわりとかける季史。
「…え?」
戸惑うあかね。
見つめる季史。
そして一言。
「濡れるで」
暗転。
シーン4
頼久(広島県出身)
天真(福岡県出身)
鷹通(福島県出身)
寿里(千葉県出身)
永泉(東京都出身)
泰明(青森県出身)
注:一人、方言ではない人がいます。……ママがいます。
『朧草紙』の恋バナの場面です。
友雅「あら、鬼の話はもう終わったのかしら?」
永泉「てやんでい、ちょうどその話をしてたところでい」(江戸っ子?)
友雅「じゃあ、天ちゃんはどんな男の人が好みなの?」
天真「そんなの決まって…! …男?」
友雅「女でもいいわよ~」(完全に二丁目のママ)
恋バナを突然振られて、泰明さんに振ろうとしたら場所が遠かった鷹通さん。
鷹通(エコー付きの録音音声)「泰明殿が、遠ぐないべが…」
天真「好きな花は?」
泰明「花は花だ。どいも同じだ」
天真「好きな食い物は?」
泰明「どいも同じだ」
天真「好きな動物は?」
泰明「べごだ」
永泉「べご……って、牛?」
友雅「じゃあ、好きな季節は?」
泰明「どいも同じだ」
友雅「好きな動物は?」
泰明「べご。あのつぶらな黒い瞳がめごいと思わねが?」
暗転。
広島弁や博多弁が再現できなくてすみません~!
福島弁と青森弁は、多分函館ナイズされてると思います(笑)。
とにかくこのコーナー、おなかが痛くなるほど笑いました。
すごいよ、ほんと、キタムラさん!!
この後、最後のトークコーナーVol.3が始まります。
こちらのMCは鷹通役の根本くん。
最もMCに向いた男だけあって、そつなく「じゃあ、自分のでも、人の出ている場面でもいいから、一番好きな場面を一人ずつ挙げようか。アイルは?」と振った相手がまずかった。
「アクラムが最後に八葉と戦う場面が大好きなんです。お互いの覇気がぶつかりあうような気がして、鳥肌が立ちます」と、立ち上がって実演。
「でもこう、イノリの突きをはねとばして、ふっと振り向いたら昨日、なぜかそこに手刀があったんですよ」
根本くんが顔色を変えて「それを言うか~っ!!」 と飛びかかっていきました。
はい、昨日はあえて書かなかったのですが、最後のコーナー、キタムラさんが選んだ好きなシーンベスト3の3位が、アクラムと八葉の死闘⇒八葉の協力技のシーンだったのですが、
なぜか根本くんが短刀を持っていなかった
のですよ。
席が最前列なのでバッチリわかりました。
ガックリうなだれた根本くんが、「いや~、結局俺が楽屋に忘れてきただけだったんだけどね~、短刀が見当たらなくて、だからって長いのを持つわけにはいかないから、え~いこのまま出ちゃえと…」。
最初のほうは袖をいつも以上に振り回し、袖の中にあたかも刀があるようなアクションをしていたのですが、アクラムにスローモーションで斬り掛かるところだけはごまかしようがなくて、仕方なく手刀になったと。
でも、最前列で見ていたからわかりますが、いつもより深く踏み込んでアクラムの影に手が隠れるようにしていたんです。
とっさにそれだけ判断できるってすごいなあと思いました。
アイル「で、どうやら刀がないらしいとわかったから、次に斬り掛かってくるシーンではすっごい手前ではね飛ばしちゃったんだよね。あのスローモーションのところでは、手刀?とか、眼鏡ない?とか、いつもいろいろ驚かされる」(笑)
すると、普段無口な頼久役の成松くんが立ち上がって、「短刀! 短刀がない!」 と舞台裏でウロウロしている根本くんのマネをしてくれました。
怨霊役の津金くんも「前に手を突くところを全部後ろに回してましたよね」とダメ押し。
「俺の鷹通の最後の思い出は手刀だよ」と、しょんぼりする根本くん。いえ、とっても素敵でした。大丈夫です!!
それ以外では、頼久さんが恋バナのシーンからはけるときに言うアドリブをいつ考えているのか…という話がありました。
泰明さんの「好きな動物」と連動していることが多いので、毎朝八戸くんに「今日は何でいきますか?」と聞きにいって、「ヤギ」と言われると一人トイレにこもり、「ヤギ…鷹通…ヤギ…書類」と、ネタを必死に考えていたそうです。
小天狗役のまいこちゃんが、「成さんって考え事してるの見たことないから不思議だったんだけど、まさかトイレで考えていたとは…」と、感心してました。
というか、その前提、ひどくない?
このコーナーの終わりでは、根本くんがいきなり演歌歌手の前振りのように「では、おまちかねのこの方に歌っていただきましょう! お父さん、お母さん、息子はこんなに大きくなりました。歌うはアクラム、『緋赤き氷点の逢瀬よ』!」と言って、椅子を持ってはけていきます(笑)。
アクラムの歌は、1コーラス目は客席に下りて、通路を歩きながら歌われます。
2コーラス目では舞台上に戻り、手前でさまざまな名場面を再現。
イクティダールと泰明の戦闘、セフルと詩紋の出会い(これは劇中にはなかった)、友雅さんとシリンの戦い……。
最後に鬼の一族、シリン、イクティダール、セフルがアクラムを囲んで、暗転。
かっこよかった……!!
そうして最後のコーナー、キタムラさんが選んだ好きなシーンベスト3の再演が始まります。
昼の部で演じられたのはベスト2、『舞一夜』の一幕の幕切れのシーンです。
「私、あの人に会いたい!」と気持ちを吐露するあかねちゃん。
町中に現れる怨霊たちと戦う八葉(久々の鷹通さんの殺陣にうっとり)。
「これからいったいどうなるのか?!」という波乱の予感を胸に主要人物が舞台上に佇み、暗転!
このシーンもかっこよかった。うん。
カーテンコールはそれぞれ、工夫をこらしていました。
イクティダールがシリンに悩殺されたり、怨霊3人組が式神になった自分の人形を持ってきたり。
頼久さんが季史さんの薄衣をはおって現われ、天真くんにはおらせようとすると、天真くんがビニール傘を開いて行っちゃう…というのもおかしかった。
朱雀は二人でダンス、白虎は待ってましたのお姫様抱っこ、玄武は永泉ちゃんが泰明さんを肩に抱えて階段を下りてきました。力持ちだぜ、ベッキー。
音止めは女性キャラ(小天狗を含む<笑>)5人の共演。
藤姫がシリンに悩殺ポーズを教わったり、あかねが邪香妃に剣を教わったり、最後に小天狗ちゃんのまわりに集まって、みんなでドーン!と音を止めました。
そして、「虹」の歌が流れ出します。
ああ、これを聞くのもあと2回。
でも、まだ泣いちゃ駄目!と、我慢しながら舞台上の八葉たちを見つめていました。
ロシアン挨拶は、1人目が天真くん、2人目が詩紋くん。
2人とも、「あと一回、精一杯やります!!」と、決意を語っていました。昼の部だけで帰るお客さんもいると思うけど(笑)、そんなこと思いつかないくらい、「あと一回」という思いが強かったのでしょう。
夜の部は絶対大泣きするに違いない! という予感とともに、一度会場を後にしました。